B級街案内シリーズ(6)
四万十市の旅





前作『奈良市外案内』から約2年ぶりのB級街案内となりました。
この2年間、B級街案内に関しては様々な構想があったのですが、
時間的な制約やパソコンの不調のため、構想を形にすることができませんでした。

今回は標記の通り、最後の清流・四万十川の下流域に位置する高知県四万十市を訪れました。
前作に続いて今回も地元ではない地域の街案内という変則パターンで、
なおかつ内容も私の品格を反映したシモネタ一切なしの上品な仕上がりとなってしまいましたが、
よろしければ最後までお読みいただけるとマンコです。

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四万十市は市町村合併によってごく最近にできた市で、その中心が旧中村市です。
高知駅からJRと土佐くろしお鉄道に約2時間乗って、ようやく中村駅に到着しました。
早速、駅前でレンタサイクルを借りて遊覧船乗り場に行き、観光遊覧船に乗りました。

遊覧船は『舟母(せんば)』という、帆のついた船でした。
この日は海側からの緩い風が吹いていて、帆が風を受け、船が進みます。
このあたりは下流域だというのに、水もきれいでした。

ガイドのおじさんが川面を這うように飛ぶカワセミや
川沿いの植生などについて説明してくれます。
ガイドのおじさんの説明を背に、ふと川に視線を向けると、
ペットボトルがいくつか浮かんでいるのが見えました。





こんな川にペットボトルを捨てて帰る人がいるとは、上流域に来た観光客だろうか、
そう思っていると、ガイドのおじさんが三角錐の形をした物体を取り出し、説明をはじめました。
どうやらその物体は川エビ漁の仕掛けだそうで、この仕掛けにロープでペットボトルが結えられていて、
ブイの代用品としてペットボトルが使われているそうです。

何だ、そういうことだったのか、ペットボトルは投棄されたゴミじゃなかったのか。
都会と違って下流域でも四万十川はまだまだ自然が残されているからこんな漁ができるのか、
さすが『最後の清流』だなと思いつつもう一度川に目を向けると、
今度は魚が浮かんでいるのが見えました。

  ガイドのおじさん 「半月ほど前に上流でコイヘルペスが発生しまして・・・」

えっと………、さすが最後の清流っ!


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遊覧船を降りて、四万十市の中心地に向かいました。
ここまでは厳密には『街』案内ではありませんでしたが、ここからは市街地になります。






ここは四万十市役所からほど近い市街地です。
この日は平日でしたが、人通りも少なく、閑散としています。
車もさほど通らず、通り沿いの商店には
シャッターが閉められた店が散見されました。

地方で人通りが少ないのは当然なのかも知れませんが、
そういったことを差し引いても、私には
何だか街に活気がないように感じられました。


そんな街中で見つけた看板(右写真)。
昼間だけれども、『ビデオ安売王』の看板の電飾は元気に点滅していました。

いついかなる状況下にあっても、『エロ』は強い。
『エロ』の力は偉大だと、私はそう実感しました。
最後の性流!







先ほどの中心地から少し離れた国道56号線沿いに来ました。

こちらは中心地とは異なり、新しい店が建ち並んでいます。
国道56号線はわりと車通りも多くて活気があり、
新しい店の広い駐車場にはかなり車が入っています。

左の写真はショッピングモールなどの複合施設ですが、
やはり車も結構入っていて、中心地と違って賑わっている様子でした。



この国道沿いの写真を見て気付いた方もいるかと思いますが、
このあたりの風景は別にこの街特有のものではありません。
日本のどの国道沿いもこの風景と似た景色になっています。
コンビニにファストフード店、大規模駐車場完備の大型小売店。
そこには地方の固有の景色がありません。
京都の郊外にある私の家の近くの国道一号線沿いも
ここと似たような風景です。

そしてこのエリアには人が集まって来るのですが、
これとは対照的に、中心街では活気が失われています。
こういった現象も、最近多くの地方で見られます。

国道沿いの新しい店舗群は、郊外に住む人に
便利な生活を提供してくれていることは確かです。
しかし、それによって地方固有の文化・経済が失われるのなら、
手放しでこの国道沿いの発展を喜ぶことはできません。
国道沿いのチェーン店やショッピングモールが地方経済停滞の元凶だと
そこまで私は言う気はありませんが、
この国道沿いの風景と地方の中心市街地の停滞が全く無関係とは思えませんでした。


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もちろん、多くの地方の中心市街地が衰退した原因は
一つに限られるものではなく、
様々な原因が複合的に絡まり合っているしょう。
人口の減少や高齢化、あるいは地元の産業の停滞。
ずっと大規模公共事業に依存してきたため、
その構造から脱却できない地方も数多くあります。


右下の写真は『サンリバー四万十』という保養施設で、
国民年金を原資に運営されていた施設でした。
大きな看板の隣に 『 二十です 今日から私も 国民年金 』
と書かれた看板があります。

ただこの施設、不採算のためか、既に閉鎖されたようです。
『 二十です 今日から私も 国民年金 』という看板も、
国民年金の掛け金がこんな風に使われて
無駄になった施設跡にあったのでは、
却って逆効果のように思えてなりません。





四万十川下流域に位置する四万十市。
そこには現代社会から隔絶されたかのような清流があり、貴重な自然があり、
その自然に根ざした文化もまだ残されていました。
しかしこの街は、他の多くの地方都市が抱える悩みとも
全く無縁ではありませんでした。

2/8/2006





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