B級街案内シリーズ(5)
奈良市街の旅





今回私が訪問したのは、私の住む京都よりおよそ一世紀前に都が置かれた街、奈良です。
奈良の通常の観光地案内を期待している方には申し訳ありませんが、
この記事はVARY流の街案内ですので、東大寺の大仏も奈良国立博物館も全く登場しません。
その点について、どうぞご了承下さい。


私は今回、奈良に行くことにしたものの、奈良についてよく知らないので、
奈良出身の友人H.Nにメールで奈良の観光地について質問しました。

件名 なし
本文 奈良観光のGスポットを教えてくれませんか。

じきにH.N氏から返事が来ます。

件名 なし
本文 奈良公園の浮見堂のほとりに蜜つぼ(水琴窟)があります。
 耳を澄ませば中から愛液の滴る音が聞こえてきます。
 そして優しく、時には激しく張形(興福寺五重塔)で刺激してあげて下さい。
 きっと悦びの余り高らかに潮を吹き上げる(近鉄奈良駅前の行基像の噴水)ことでしょう。

おいおい、奈良って一体、どういう街なんだ!
そんな不安と期待を持ちつつ、近鉄電車に乗って京都から奈良に向かいました。

私が地下にある近鉄奈良駅から地上に出るとすぐに見たものは、
潮吹き行基像の噴水でした。
驚きました。いきなりクライマックスですか。

そうすると、AVだったらもう巻き戻しボタンを押すのと同様に、
ここで奈良観光を終了して引き返してもいいのではないかと思ったのですが、
ふと、行基像の後ろにある看板が私の目に入りました。






地方に行くとよく整備新幹線やリニアの誘致を求める看板がありますが、
奈良では大仏様がリニア誘致に一役買っているようです。
何とも現世の欲望にまみれた大仏様ですね。
そう思って見ると、この看板の大仏の目や口元がいやらしく感じます。

まあ、そもそも東大寺の大仏だって、何らかの仏教思想のみならず
疫病や災害への畏れに対する現世的な願いから建立された面もあるわけで、
大仏様はリニア誘致だって喜んでやってくれるのかもしれません。

何か、いきなり奈良県民を敵に回したような気もしないでもありませんが、
とりあえず、行基像の目の前にある東向商店街に入って行くことにしました。


東向商店街には土産物屋や飲食店などが多く並んでいましたが、
その外れには南都銀行本店の建物がありました。
周りの商店街にも、奈良という街にも相応しくない
古い銀行本店の建物によくある洋風建築です。

京都より古い歴史を持つという奈良の街に
街並に不似合いで、中途半端に時代錯誤な造形物が
いきなり姿を現すというのは、どうも私には残念な気がします。
古の都・奈良の実力は、この程度のものなのか?


そんな事を思いつつ、東向商店街からさらに先に進み、
もちいどの(餅飯殿)商店街の細い路地に足を踏み入れて行きました。





「ぢ」やリウマチ、生理不順に効くという、漢方薬の看板や貼り紙。
何となく入りづらい薄暗い店内に、古い建物。
そのどれもが、他を圧倒する禍禍しい雰囲気を発しています。
ドラッグストアが多数出店するこの時代に、何とも懐かしい雰囲気の薬局です。
こんな薬局が残っているとは、さすがは古の都・奈良だと言わざるを得ません。

さらに、この薬局の前には、今時誰がこんなもので遊ぶのか、
デパートの屋上とかに昔よくあったこんな遊具がありました。
1回20円と、昔なつかしの価格も素晴らしいです。
奈良のすごさをまざまざと見せつけられました。
私は残念ながら、体重制限のため乗ることができませんでしたが、
奈良に行った体重30kg以下の方は乗ってみたらいいと思います。






古い商店街によくある、流行の最末端を牽引する婦人服屋が
もちいどの商店街には何軒かありました。
陳列されている商品やそれらに付いている日に焼けて色の変わった紙の値札を見て、
こんなところで買い物する人はいるのか、そもそも商売が成り立っているのだろうかと、
こういう婦人服屋を見るたびに私は妙に心配をしてしまうのですが、
この洋品店では店主らしきギラギラの服を着たおばさんが
客の中年女性とのんびり談笑していました。
さすがは奈良、古の趣きを残す古都だと、私は感心しました。

右の写真は、現在開催中のアテネオリンピックのTシャツが
素晴らしいコーディネートで店頭に陳列されているところです。
うん、こういう組み合わせの着こなしをしている人、
酒屋のおじさんとかによくいますね。
古いものと現代的なものの絶妙の融和がなされているのだと、
ええ、とりあえずはそういうことにしておいてください。
もうこれ以上、マラ県民の敵を増やしたくないので(この発言自体が問題)






奈良といえば鹿、ということで最後に鹿を見てから帰ることにしました。
近鉄奈良駅から東に500メートルも行かないうちに、道を歩く鹿に出くわしました。
鹿は人を怖がることもなく堂々と歩道を歩いています。
道路脇の植え込みの芝を食べている鹿もいます。

街を普通に鹿が歩いているというのが、
奈良という街の際立った特徴です。
さらに街を走る奈良交通のバスには
鹿のマークが付いていますし、
「鹿の飛び出し注意」という道路標識も街中にあります。

この街の主役は鹿なのです。


街の中にすらこんなに鹿がいるのなら、
山の方に行けばさぞたくさんの鹿がいるのではないだろうか。

きっと奈良県は、人口よりも鹿の数のほうが多いに違いない。
そして私は、この記事で多くの奈良県民を敵にしたに違いない。
そんな事を思いつつ、のどかな鹿の街・奈良を後にしました。


special thanks to Dr.H.N

27/8/2004





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