2005年12月5日
今日は変態界の大御所ゲルベス氏の誕生日である。ゲルベス氏には数ヶ月前の私の誕生日にこんなものをいただいた。
『こんな初H、あたしだけ!?』
『新巨乳家族』
いずれもエロ漫画である。私はエロ漫画には全く興味がないため、後日ゲルベス氏に返還した。しかし…
これは先月ゲルベス氏とファミレスで会食したときのことだが、事実は全く逆である。私がトイレに席を立った隙に、ゲルベス氏が私の鞄にエロマンガ雑誌を入れていたのである。あまりにゲルベス氏らしくない行動に驚いたのだが、ゲルベス氏がここまでのことをするからには、この行動には何らかの意味があるのだろうと私は考えた。
そしていろいろ考えた結果、私はこんな結論に辿り着いた。この一連の行為は、ゲルベス氏なりの趣味の主張の仕方であり、「私に何か寄越す機会があればその趣味に沿ったものをくれ」ということを示唆しているのである。だとすると、ゲルベス氏の誕生日プレゼントとしてゲルベス氏が喜ぶのはきっと、二次元ロリパイパン物だろうということになる。
しかし、ゲルベス氏に限ってそんなことはないと思うが、万が一ということだってある。ゲルベス氏があちらの世界にどっぷり浸りきってしまい、もしあんなことになったらと、一抹の不安が私の脳裏をよぎった。
←あんなこと
そこで私は、ゲルベス氏に適切な性知識をつけていただこうと思い、私たちに膨大な量の役に立つ知識を授け続けてきたホットドッグプレスを差し上げようと考えた。しかし残念なことに、「髪をいじっている女は欲求不満だ」とか「ミニスカを履いて足を開いている女は非処女だ」とか中高生男子にたくさんの知識を与えてくれたホットドッグプレスは既に廃刊になったようである。この現実に対し、時の流れの無常を感じずにいられないが、そんなことよりそれに代わる品を用意しなければならない。そう思い私は一時間ほど本屋を歩きまわった末、ついにこんな本を見つけた。
近時女性ファッション雑誌では「モテ肌」とか「モテ服」とかやたらと「モテ」がキーワードになっているようだし、中年男性向け雑誌ですら「チョイモテオヤジ」なんて言い出す始末である。そうするとやはり、ゲルベス氏には「モテ」マニュアルを身に付けていただき、そのうえで適正な知識を着実に身に付けていただこうと私は考えた。この本はホットドッグプレスに比べてインパクトは低いが、エロ本以上に本屋で買うのが恥ずかしい。しかしゲルベス氏のためを思い、私はこれを購入することにした。
ただ、これだけではまだまだ不十分である。マジメなゲルベス氏がこの本に書いてある40のマニュアルをすべてこなしてモテモテ男に変身を遂げたあとには、必ず次の段階がやってくるはずである。私はその点についてもぬかりのないように、次の段階について詳細に解説した本も用意することにした。
これで完璧だ。
当面の知識面に関しては、これで完璧なはずである。ただ、いくら素晴らしい知識を授けてくれる本だとはいえ、私ですらこの本を買うのは恥ずかしかったのだから、ゲルベス氏も家族にこんな本が見つかったら恥ずかしいに違いない。それゆえ私はその点にまで配慮して、偽装カバーをつけて進呈することにした。
本棚に置いてもこの通り、目立たない。
「モテる男 40のマニュアル」 → 「日本の伝統」に偽装
「KISS MANUAL」 → 「カント入門講義」に偽装
近代ドイツ観念哲学を樹立し道徳法則を説いたカントが、数百年の時を越えてキスマニュアル本の偽装に用いられることになるとは想像だにしなかったであろう。
時の流れは非情であり、中高生男子に素晴らしい知識を提供し続けてきたホットドッグプレスは廃刊し、ドイツ観念哲学の父はキスマニュアル本の偽装に用いられることになった。そしてゲルベス氏もその時の流れの中でまた一つ年を重ねたわけだが、ゲルベス氏には時の流れの中でますます素晴らしい知識を身につけ、たくさんの経験を重ねていただきたいと、私はそんなことを願っている。